2012年01月12日

Roberto Faenza, The Soul Keeper (2002)

A Dangerous Methodを見て、これは完璧な失敗作だと思ったし、ユングとサビーナの描かれ方にしても不満が残ったので、同じ題材の違う映画を見てみることにした。というか、ぼくの知る限りでは劇映画としては他にこれしかない。

これは良作だった。というか、ワンシーン毎にA Dangerous Methodがいかに駄作だったかっていうのが浮き彫りになっていった。二人の関係についても、こっちのほうがもっと魅力的に描かれているし、なにより、もっと情熱的だ。それに、この映画には、クローネンバーグ版にあったような、フロイトやユングを描く側が価値判断してやろうというような変な気負いがない。

とくに構成が良くて、現代に生きるある女子学生がモスクワまで行ってサビーナの人生を調べる、という設定がある。これが案外良い。というか、後になってきいてくる。というのも、サビーナという人はほとんど忘れ去られえてしまっていた人で、この映画を観る、ということは彼女についての記憶を私たちが共有する、という作業でもあるからだ。

サビーナはユングと決別したあと、ロシアに帰り、幼稚園を経営するのだけど、そこに当時いた、という人が証言する場面がある。これが感動的で、サビーナという人がいかに特別な人だったか、というのがよく分かるようになっている。この映画ではユングが主役なのではなくて、サビーナが主役だ。

サビーナ役の女優さん、 Emilia Foxはほんとに可愛くて魅力的で、これはユングじゃなくても手を出すだろうなって感じ。この女優さんを見るだけでも価値がある。

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2011年10月09日

Deep Throat, 1972


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Alain Robbe-Grillet, Le jeu avec le feu, 1975

危険な戯れ



ラベル:Alain Robbe-Grillet
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Emmanuelle, 1974


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Gefangene Frauen, 1980


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2011年10月06日

Ismaël Ferroukhi, Les hommes libres, 2011

ドイツ占領下のパリで、レジスタンスに参加したあるアラブ人青年の物語。ドイツ占領下のパリってのはなんだか郷愁をかきたてるのか、よく題材になるけれど、アラブ人が主人公ってのは今までなかったと思う。アラブ人がフランス人を助けるって話もまあ滅多にない。



はじめはヴィシー政権側の政府からパリのあるモスクを見張るように命令されていたアラブ人の青年が、モスク周辺で歌を歌っていたサリムという青年との友情をきっかけにレジスタンスに加わる。じつは政府側を裏切るとことか、サリムと仲良くなるところかあっさり描かれていて、彼の心境にどういう変化があったのかはほとんど分からない。よく言えば淡々としている。

さて、モスクはじつはユダヤ人たちにアラブ人であるという偽の証明書を配っていた。それでモスクが怪しまれて、サリムも捕まったりする。助かる人も助からない人もいる。これは実話に基づいているらしく、サリムはやがてパリでバーを開いて、アンダルシアの歌を広めたらしい。映画の中でも、彼の歌がけっこうフィーチャーされていて、これがなかなかよかった。
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2011年09月28日

大島渚, Max, Mon Amour,1986

主演はCharlotte RamplingとAnthony Higgins、脚本はカリエール、撮影はラウール・クタール。大島渚がフランスで撮った映画。これは変な映画というジャンルのなかでも極めつけ変な映画。日本人監督が単身フランスに渡って現地の俳優で撮っているというのだけでも十分変だが、脚本もそれ以上に変。お猿さんと恋仲になった女性と、その夫の物語、ということはきっとタイトルからは想像できない。

変なことがおきているのに、主演の二人は表情を変えず、優雅な暮らしを案外普通に続けていたりするところが面白い。映画だからってけっこうむちゃくちゃなことをしているが、こういうのはけっこう好きだ。こういう映画は、むやみに意味づけをしたりすると面白くなくなる。猿は猿であり、それ以外の何ものでもない。そこんとこの表層にとどまって鑑賞するのが正しい見方だ。

どう考えても大島渚らしくないが、こういう変な映画がこっそり撮られていたってだけでも、やっぱり映画は面白いと思う。これは、見るべき映画だ。


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2011年09月27日

Valérie Donzelli, La guerre est déclarée, 2011

子供が脳にがんを持ったことが分かった夫婦の話。というと簡単だけど、話は出会ったところからはじまって、子供ががんと分かる過程、手術、そして手術後の転移予防のための治療の過程、その間の夫婦の生活、二人の関係なんかが、細かく語られる。これは今年最高のフランス映画の一つなんだけど、予告編でそれが伝わるだろうか。



なにがいいって、まず二人の心境がダイレクトに伝わってくる。いや、伝わってくるというよりかは、体験を共有させられる。子供の病気への不安、真実が分かったときの恐怖、それでも頼れる相手がいることの安心感などなど、二人が味わう心情をそのまま体験させられる。これはきついけれど、すごい

そして、演出も気が利いていて、ときにはユーモラスだったり、ホラーだったり、ホームドラマだったり、いろんな要素がある。頻繁に、音楽を全面にならして、会話がかき消される、というような演出がされるけれど、これも下手すればくさくなるけれどまあ許せる範囲でいい効果をあげている。曲の選び方はうまくて、これのサントラがほしくなるくらい。



じつはこの話、実話らしい。それも監督本人と、その元夫の話らしい。そして、その二人がそれぞれの役を演じている。なんともつらい生の体験を、こうして昇華して、一つの作品に仕上げるってのはまあ大変な作業だったと思う。その勇気もすごいし、できあがった作品もすごい。今年一番のフランス映画、というより、ここ数年で一番強烈な映画の一つだ。
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2011年09月24日

Michel Ocelot, Les contes de la Nuit, 2011

Michel Ocelotはキリクと魔女の人で、Les contes de la Nuitはこの人の新作だ。



今回も各地の伝説が例のアニメで語られる訳だけど、今回は各エピソードが、男女と一人の老人によってお芝居として制作される、という映画内劇という形をとっている。要するに、どうやって各エピソードの原作が見つけられ、作品としてできるか、という過程までわかりやすい形で伝えてくれているわけだ。これは、なかなか面白いし、互いに関係のないエピソードをうまくつなげる役目も果たしていたと思う。

映像は例によって美しく、映画館で見る価値はある。音楽もよい。でも、この作品の魅力は、さまざまな地域の伝説の魅力そのものを伝えてくるところにあると思う。この映画を見終わった後、ついつい金枝篇なんかを注文してしまった。


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2011年09月17日

Nanni Moretti, Habemus Papam, 2011

監督はナンニ・モレッティ、主演はMichel Piccoli、脚本はNanni MorettiとFrancesco PiccoloとFederica Pontremoli、撮影はAlessandro Pesciのイタリア映画。


「Habemus Papam」とは新しい教皇が誕生したとき、サンピエトロ広場で枢機卿がいうラテン語で、文字通りには「私たちは教皇をもっている」という意味の言葉。これは、そのとき、バルコニーに顔を出せないで逃げ出す教皇の話。偶然選ばれてしまって鬱になってしまった教皇は、精神分析家を呼んでもらうけどなにも変わらず、ついに教皇庁を逃げ出して街を放浪するが、人々はまだ教皇が中にいると思いこんでいる・・・



まあ舞台がバチカンだとか、鬱の教皇だとか、そういうのはすべて滑稽さを醸し出すための味付けだと思っていい。別にこの映画はカトリックを批判したいわけでも、宗教をおちょくりたいわけでもなく、教皇がいるのに不在で誰かもわからず、当の本人はそのニュースを街角で見ているとか、そういうシュールな状況をおもしろがるところに本質がある。枢機卿がなぜか精神分析家の指導の元バレーボール大会をはじめるのもおかしい。

この監督の作品は見たことがなかったれど、今年58になる巨匠だ。歳をとって、好き勝手なことをやっているという感じ。演出も堂に入っているし、各俳優の味わいも面白い。こういう映画は経験をうまく積んだ監督にしかとれなないと思う。
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