2009年01月31日

Woo-Suk Kang, Silmido, 韓国, 2003

これを事実についての映画だと思ってみるとこのブログが書いているみたいに怒らないといけなくなる。まあ、明らかに過剰な演出がされているのは明らかなので、ほんとにこれがそのまま起こったと考えるのはもともと無理がある。にしても、ほんとは部隊抹殺命令なんか出ていなかったっていうのはちょっとあれかなとは思う。でもこの映画、作りからしてハリウッドっぽいんだから、そういうものよ。

だからすごいのは、これだけ深刻な事件をギャグ……じゃないやハリウッドっぽく脚色して強引に感動させようとするところだよね。その自分の国の歴史をネタにした商売根性ってのはすさまじいなあと思う。ここまでいくと、これは「潔いわざとさ」だと思う。俳優も惜しげもなく有名なの使ってるしね。

で、これ見て面白いのは、男たちの熱さだよね。すぐ喧嘩するし、毒づくし。そのへん、韓国人は日本人と違うなあってすごい思った。日本人はやっぱり自己抑制して起こったりしないのが美徳だもんなあ。似たような民族だけど、そこんとこはすごい違う。そして、男臭い映画を撮ろうと思うと、日本ではやくざ映画しかなく、韓国では軍隊ものになるというのは必然的であるように思える。男好きな人にはすごいお勧め。



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2009年01月13日

Baz Luhrmann, Australia, 2008

これは……冒険と死ぬほど甘いメロドラマをオーストラリアの広大な自然を舞台に展開して、そこにエキゾチックなアボリジニのおじいさんと戦争を背景に味付けしたらこうなるっていうだけの映画。ニコール・キッドマンが出ている意味分からん。音響や映像がそれなりによかったので、映画館でだったら飽き飽きしつつもなんとか最後まで見られたけれど、テレビとかでこれを二時間半見るのはちょっときついと思う。もう出来た瞬間から不良債権みたいな映画だね、これ。

こういう映画について、どこが駄目だとか書くのはほんとに簡単。そういう仕事回ってこないかしらんと思うくらい。なので、もうみんなそういうことは書いているし、読む機会も多いと思うのでここでは繰り返さない。しかし、この監督ほんとに下手くそだね。これ縮めて一時間半くらいにしたら、ちょっと変わった西部劇みたいになって面白かったかもしんないけど、なんだかなあ。ほんとに。



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2009年01月07日

Steve McQueen, Hunger, 2008

一応見たので報告だけはしておこうかな。これは監獄もの映画。Steve McQueenはむかし死んだ同名の俳優とは別人。念のため。これ、まったく事前情報知らずに見に行ったからIRA活動家についての映画だってことがだいぶんあとになるまで分からなかった。けれど、そういう背景的なことはけっこう余計に思えて、途中で挿入される対話のシーンも相当余計に思えた。それがなければ、純粋によい映画だと褒めたいところだけど、ちょっとあざとさが目に付いてしまった。まあ、現代アート界で成功するだけの人だから、あざといのは当然なんだろうけどね。

とにかく、前半の監獄の描写ってのがすごいのね。ほんとに壁うんち塗ってるっぽいし、うじがわいているところで俳優寝てるし。実際機動隊みたいなのにぼこぼこにされてるように見えるし、なんかけっこうこれ演じた人大変、というか、トラウマになりそうなくらいリアルに再現していてすごいです。というか、ちょっとやり過ぎだと思います。この監獄見ると、『Oz』とか『Prison Break』の監獄が天国に見えます。これは地獄ってのがどんなものかよく描けていると思う。

で、Michael Fassbenderという人が主人公役やってるんだけど、映画監督ってこんなことまで俳優に要求していいのかなって感じのことをさせているわけ。完璧監獄事情を再現したところで撮るのもそうだし、ハンストで最後死ぬんだけど、ぎりぎりまでほんとに痩せているんじゃないかって気がする。これ、ほんと大変だったと思うよ。ぼくなら絶対やりたくないなこの役。で、これだけ無茶苦茶なことやらせる監督に従ったってのはほんとすごいなって思った。一番大変なのはやっぱり俳優だよ、映画って。という映画。
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Abdel Kechiche, La Faute à Voltaire(Poetical Refugee), 2000

日本ではまったくと言っていいほど知られていないに違いないこの監督この映画は第一作らしいけれど、傑作。ほんとにこれはよかった。パリに住むsans papier(不法滞在の)アルジェリア人男が主人公で、不安定な境遇ゆえに陥る恋ってのを描いているんだと思う。はじめに男は同じアラブ系の女性と恋に落ち、というか肉体的に魅了され、次に白人のとっても身持ちの悪い女の子が彼に惚れてつきまとう。で、情にほだされて付き合うことになるって感じなのだけれど、それぞれの関係の描き方になんとも言えないものがある。こういう関係、どこにでもあるって気がするんだよね。

主人公のJallelはヒゲが濃い男だけど、スーツに身を包んだときの男前らしさと言ったらすごいの。で、Élodie Bouchez演じるLucieがだんだん可愛く見えてくるのがすごい。なんだか恋愛体験そのものを体験させてくれるような、そんな感じがする映画だ。

アメリカ人の感想だと思うけど、この映画は前半はすごいハッピーなのに後半突然暗くなる、みたいなことを書いていた。これにはびっくり。前半、アラブ人の女の子と恋に落ちるところも、じつは全然ハッピーじゃなくて、恋ってものの不安しか描いていない。そこんとこはこの映画にとって一番重要なところで、その不安感から、後半もなかなかハッピーにはなれない。不安と、でもそれゆえの喜びというか、そういうの胸がつまります。これは、ある限定された状況が舞台だけれど、でもとても普遍的なことを描いていると思う。これはほんとにすごい映画だ。
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2009年01月02日

北野武、ソナチネ、1993

北野武といえば暴力描写、みたいなことをよく言われているのだけれど、それは一面的すぎる。だいたい暴力をどういう風に描いていて、それが何を伝えてくるのかと。ここでは暴力は限りなく無気力的で、倦怠した日常とまったく地続きになっている。人の命の重みが限界まで軽い世界に生きている男たちにとって、拳銃を発砲することはほとんど暴力ですらない。それは限りなく即物的な行為でしかないのだ。

とはいえ、この映画はむしろ、死にさらされた男たちの、それゆえに限界をしらず滑稽なことをする男たちの最後の日々の話であって、だる日々のなかの一瞬の楽しさ、のようなものをひたすら描いている。



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